開店して、まだ３ヶ月の新しいお店です。　　
ご主人は「花吉兆」にいらした方で、まだお若いです。
私は、先斗町の「つか本」のご主人に薦めていただいて来てみました。

秋山さん、華やかな街の中心部からここに移り、「遊ぶ所もないので、仕事一筋。」なんて、笑っていらっしゃいました。
じぁ、大丈夫。
いいお店になりますねぇ！
お店までは、田んぼやビニールハウスもちらほらと。
こんないい場所ですから、お水も天然水とか。
更に、お味噌も自家製ということです。
ここでだからこそ出来る事、味わえる事が沢山あるのです。

「ホッ、とする料理を作りたい。」―秋山さんは、そうおっしゃいました。

すばらしいお店になる事を願いながら、敢えて一言、気になった事を。
私は、家での食事もですが、初めの一品は、とても大事だと思っています。
で、もったいないなぁ、と思いました。
最初のガラスの器、もう少しいい物の方がよくありませんか？
高い物、という意味ではありません。
お料理は地のトマトを使い、ご主人の心意気が伝わってきます。
なんですから余計に素敵な器を使っていただきたいと思うのです。
正直な感想です。

初めてうかがったお店での、初めての一皿。
その印象は、これから始まるお料理への期待を無限に広げてくれます。

▲地下鉄・北山駅４番出口を出て、北山通りを西に行きます。「キャピタル東洋亭」を右折。そのまま真っ直ぐ１０分くらい、突き当たりまでいきます。そして左折し、すぐの右側にこの入り口です。まさか、と驚きもある、趣のある門です。ここは、古民家を改修した１軒屋のお店なんです。		▲お店の入り口です。中に入ると、待合室があります。さすがに広いです。準備が出来るまで、ここでお茶をいただきながら待ちます。とても素敵なしつらい、いい雰囲気です。 お昼は、３０００円のおまかせコースのみです。夜は、６０００・８０００・１００００円の３コースです。		▲地元の「上賀茂トマト」が出来始めています。これを美味しく食べてもらおう、という一品です。そしてこれ又出回り始めた無花果です。今日のは奈良産。これを、りんごジュースでサッと焚き、添えています。上には、ペーストにした胡麻を混ぜた豆腐クリームが載っています。ほのかに、甘いりんごの香りがします。
▲うすい豆のしんじょのお椀です。しんじょの中には、これでもかというくらい、旬のうすい豆が沢山入っています。周りの涼しげなのは、薫菜です。目にも美しい一品に仕上がっています。しっかりした、いいお味の張り地です。吸い口は振り柚子。い～ぃ香りです。		▲お造りは３種盛りです。太刀魚の焼霜作り・シマ鯵・そしてシビ（マグロ）です。ご主人が目の前で、太刀魚の皮側を、バーナーで焙っています。見ているだけでも、楽しいです。おろし生姜とお醤油、そしてポン酢、お好みでどうぞ。マグロも生姜でいただきます。添えの葉は、お庭のです。自家調達、こんな事が出来るなんて、よくありません？		▲冷たい炊き合わせです。信田巻き―山くらげを油揚げで巻いた物・玉ねぎ・ほうれん草です。上には、みょうがが沢山。味がよ～く浸み込んで、野菜の甘さが引き出されています。お揚げがこくを添えています。 これからどんどん暑くなっていきますが、こんな一品、それこそ、「ホッ」ですね。
▲目の前のガス台では、炭が熱くなっています。何に使うんだろうなぁ～、と思っていました。 一口大の粟麩は、粉をはたいて、加茂茄子は素で、それぞれ揚げます。それをお皿に並べ、練り味噌をかけます。生姜汁をひと絞り、けしの実、松の実を散らします。ここまでは、調理場で。一人ひとりの前には、七輪。炭はこれに入れられました。ここで温めながらいただきます。お味噌がぐつぐつ、段々焦げた匂いがしてきます。あっつあつ！		▲ご飯は土鍋で、カウンターの向かいにあるかまどで焚かれます。「ほら、みてください。」おこげが出来ているの、わかりますか？香ばしい匂いが、食欲をそそります。使われているお水がいいから、シンプルなご飯が美味しい！一番のご馳走です。出されるお漬物も美味しいですが、ご飯だけでＯＫ。さきほどの焦げたお味噌をちょっと載せてみたら、これ又◎。		▲最後のデザートです。これは黒砂糖のわらびもちです。こうやって見ると、普通のわらびもちです。が、切ってみると、真ん中に、薄甘く焚いた黒豆が入っています。他とは異なる物を、と一工夫しているのがわかります。