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佐々木さん不在の「祇園さ々木」です―その1

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2006.01.23

京都市東山区大和大路四条下る4丁目小松町566-27
TEL:075-551-5000

2006年、初の「祇園さ々木」さんです。
今回京都に来た目的は、本当にここで食事する為だけです。
というのも、「日々のこと」を読んでいただいている方は、おわかりでしょうが、我が家は今、受験生がいます。
ですから、1月は京都での予定は全てキャンセルしました。
本来なら、ここに来ている場合ではないのですが。

22日のセンター試験が終わり、次の試験までの合間をぬっての来店です。
そんなにしてまで?と思われるでしょう。
そうなんです。
どうしても来たかったのには、訳があります。
今回、ご主人は、いらっしゃらないのです。
22日から佐々木さんは、仕事の為フランスです。
佐々木さんのいない「祇園 さ々木」
開店以来、初めてです。
さてどんなだろう?。
こんな機会、滅多にあるものではありません。
という訳で、来たかったのです。

いつもは、ご主人佐々木さんが立っている場所に、今日は木田さんです。
彼は開店時からずっと佐々木さんと一緒にやってきた人です。
木田さんに裏を任せられるから、やってこれた。
佐々木さんを支えてきた、「祇園さ々木」にとって、なくてはならない大事な人です。

そんな彼も、さすがに今日は緊張ぎみです。
表でお客様の前に立ち、その一挙手までをじっと見られながらの作業は、やはりいつもとは違うものなのでしょう。

「よろしくお願いします。」
いつもと同じに始まりました.




▲「今日は寒いので、温かい先附けからです。」と出されました。おっしゃる通り、昼から雪もチラチラ舞う、冷える日です。
一番下には、湯葉のよせた物です。その上に白子が載った蒸し物で、ポン酢醤油がかけられいます。かき混ぜていただきます。この組み合わせは私の好きなパターンの1つです。今日は湯葉ですが、茶碗蒸しでも同様で、美味しいですよね。(普通すぎ?...)
 


▲焙った、アカザエビが1匹、どか~んです。とても大きな、立派なアカザエビで、迫力がありました。エビは縦割りにし、塩をしてバーナーで焙っただけ、という簡単な調理法です。それだけに、新鮮で、いい素材である事が重要です。
「焙る」とは、どういう事か。改めて認識させられる一品となりました。
 


▲口の悪い常連さんに、「寿司、握れるんかぁー?」とからかわれながら、木田さん奮闘しています。今日は、佐々木さん不在の初日で、「まわり見る余裕、ないです。」と本人が言っているくらい、緊張しているようです。
からかわなければいいに。京都のご贔屓さんは、口が悪いです。愛情の表現なんですが、益々緊張しちゃうじゃありませんか。



▲お造りです。とりわけいつもと異なる内容ではありません。
焙った鰆と平目のエンガワは、ポン酢醤油をつけていただきます。甘鯛の昆布〆は、大徳寺納豆とわさびを巻いて、煎り酒をつけていただくのが、さ々木流の食べ方です。
握りは、トロです。カウンターでトロ2つは、まずない事で、逆にトロ好きな家の子達には、「いいなぁ。」と言われそうです。今回の盛り付けは、木田さんに拠るものです。いつも見てる、又は一緒に食べてる皆様、いかが?
 


▲お椀は、いつも通り美味しかったです。蓋を取ると、生姜のいい香りが漂います。鮑の下には、白菜・慈姑のスライスです。菜の花の緑が映えています。
たまたまですが、常連の方と、「だし」の話になりました。「本来、お椀というのは、蓋をとっても、鰹も、昆布の香りもしない物。口に含んだ時に初めて、その旨みが拡がる。そういうものだ。」こういう風に聞いた事がありました。その事をお話すると、「昔はそんなだしをひける料理人が、京都にも何人かいたもんです」とおっしゃっていました。私もそんなのに、出会ったことがありません。ただ一度、ここ京都で「もしや?」と思った事はありました。祇園でも有名なM山でです。これがまさしく、蓋をとっても匂いが無いお椀でした。遂に、と期待して口にしたのですが...。「えっ?」。匂いだけでなく、旨みも無かった、というオチがついていました。これで、4万近く支払いをいたしました。余談でした。
 


▲これは、ベルギーチコリの上に、コッペカニを載せた物です。内子のソースで和えてあります。
ご存知ですか、「チコリ」と「アンディーブ」、ベルギーとフランスでは、反対の名で呼ばれている事を。
ベルギーで「チコリ」と呼ばれている野菜(写真の)は、フランスでは「アンディーブ」と呼ばれ、反対に、ベルギーで「アンディーブ」と呼ばれている野菜は、フランスでは「チコリ」なんです。
ややっこしい!なんでそんな事になったのか?仲のよくない国どうし、色々あったことでしょう。にしても迷惑な話です、他の国にとっては。
日本では、長年フランス式で、アンディーブ、と呼ばれていましたが、近年、わざわざ「ベルギーチコリ」なんて、呼んだりしています。
「ベルギーチコリ」は、ベルギー特産の野菜です。グラタンにしたり、煮たり、ベルギーでは、普通に食べられている物で、日本での白菜みたいなもんですね。



▲大根とお揚げの焚いた、シンプルな焚き物です。
通常ここの献立は、佐々木さんが決めています。
今日は留守なので、皆で考えたそうです。その中で、全員がやりたかったのが、この一品だったとか。
「どうですかぁ?」と木田さんに聞かれました。
残念な事に、どうしてこれをしたかったのか、聞きそびれてしまいました。
 


ご飯は、鮭と大根の炊き込みです。いつもの事ですが、お客様の人数に合わせて、土鍋で炊いてくれます。一度に沢山炊いた、しかもこんなお鍋で炊かれたご飯は美味しいですね。
 


▲最後はデザートです。苺のアイスクリームとグレープフルーツの盛り合わせです。アイスクリームには、もろみ酢がかけられています。ここのお店で、夜にアイスが出るのは珍しいです。ただ、この組み合わせ、なんの意味があるのか?少々疑問に感じました。一緒に盛るなら、それなりにいいことがなければ、私はしません。果物を先にいただくと、最後、アイスのせいで口がさっぱりしない。反対にアイスを食べてからだと、酸っぱいし。もう少し、さっぱりしたアイス、例えば、ヨーグルトを使うとか、牛乳でするとかすれば、まだ良かったかもしれません。和食の最後の締めくくりとしては、苺たっぷりのシャーベットがよかったかもしれません。

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