日々のこと

常磐津と舞の会―その2

コメント(2)

2006.05.25

和やかなとてもいい会になり、お客様にとても喜んでいただきました。

父も、「こんないいい物だと、初めて知りました。」

「背景・情景が迫ってくるようで、引き込まれました。」

などなど、色々なお言葉をいただき、やってよかった、と安堵していました。 
その上に、「神々しい」とまで言っていただき、感激していました。

現在、「邦楽」という物は、身近には無いのが現状です。
ですから、なかなか一般の方々に「直」に聞いていただく機会、その物がありません。
その上、幸いにそういう機会を得たにしても、言葉自体が、現在使っているものと異なる為に、わかりにくいという事があります。
事前になんらかの知識の有無で、かなり感じ方も違うでしょうか。
そんなことで今回は、入室時に唄本の写しを配布しました。
これがやはりよかったようで、皆様、これを見ながら聴いてくださったのです。
目で追っていらしゃる方、書き込みをなさる方など、熱心な姿に、私は、とても嬉しく思いました。  

朝、私達が到着すると、もうすでにお客様がいらしていました。 
お茶席を待っていらっしゃる方達です。
今回は

    薄茶席  10時半~ 

    開演    11時半   
                  1.曲の説明
                  2.演奏
                  3.常磐津のお話
                  4.舞

    点心席   12時45分~

    薄茶席   1時~

このようなスケジュールで会は行われました。
   

父は本職ですから、演奏自体に関しては、心配してはいませんでした。
が、会場が個人のお宅、という事で心配していたようです。
実際会場が、どのように設置されているのかが、全くわからなかったのです。
友人の方も、参加人数、舞の事があり、ぎりぎりまで決められませんでした。
ですから、一体演奏する所と客席との間に、どの位距離があるのか。
これが、とにかく心配なようでした。
演奏は、通常舞台でするものなのですが、今回は普通のお宅の為に、そんな物はありません。
これ自体、経験のない事ですから、とても気になっていたようです。
幸い適当な距離もとられ、いい具合で 演奏が出来ました。

今回の演奏曲は、「宗清」という、常磐津らしい曲です。
皆様ご存知の源義経の母、常盤御前が、戦いに敗れて子供達を連れて逃げ延びる途中、関守りである、宗清に見つけられます。
六波羅の清盛から、常盤を捕らえて連れてこい、という命を受けていた彼と、最後には子供を守る為に、泣く泣くその仰せに従う常盤。
この2人のやりとりが、中心となったこの曲は、常盤の哀れと共に、女性の強さも感じられる名曲です。
こんな内容のお話をしてからの演奏です。
とてもよくおわかりになったようでした。

次は、「常磐津」全般に話。
そして芸大で、又お弟子さんとの話などを話す父は、全員で台詞を言ったり、時には笑いありで、実に話が面白く、「引き込むのがうまいなぁー」と感心させられます。

最後に舞です。
友人の知り合いの舞踏家の方が舞い、会はつつがなく終りました。

今回、「やってよかった。」とつくづく思いました。
大変ではありましたが、私自身もこのようなスタイルで父の演奏を聴く、という機会はそうそうあるものではありません。
専門の会場ではないからこそ、の良さがありました。
こちらも皆様の反応も直にわかりますし、お客様にも十分に良さを感じていただける、と手ごたえを感じました。
「多くの方に、聴いていただきたい。」
邦楽の良さを、肌で感じていただきたい。 
私の切な思いです。。

今回はいい勉強でした。 
こんな風に感じていただけるのなら、今後もやらなければいけないかな、と思いました。
それが、携わっている者の義務でもあるのです。


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コメント

  1. yuki

    素敵なお父様ですね。
    確かに直で聞くことは少ないですね。私もその内の一人
    です。 東京で開催されるときはぜひ、教えて下さい。

  2. さなえ

     東京での開催を、本気で考えています。
    やはり、直に聴いていただければ、少しは邦楽を理解していただけるかな、と思っていますので。
    具体的な事が決まりましたら、お知らせしますので、是非お運びください。

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